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動画がカクカクする原因を切り分ける:iPhone だけでできる直し方
「動画がカクカクする」には、まったく別の3つの原因があります。再生している環境の問題、撮影したときの設定の問題、そして素材そのもののコマ数が足りていない問題です。どれなのかを最初に見分けないと、いくら対処しても直りません。この記事では症状から原因を特定し、それぞれに合った直し方だけを案内します。
まず切り分け:あなたのカクカクはどのタイプか
動画のカクつきを直そうとして、いきなり編集アプリを探す人が多いのですが、これは順番が逆です。カクつきの原因が再生環境にある場合、動画をどう加工しても症状は変わりません。まずは次の3つを順番に確かめてください。1分もかかりません。
- 写真アプリで直接再生するSNS やブラウザ、クラウド経由ではなく、iPhone の写真アプリで元のファイルを再生します。ここで滑らかに見えるなら、動画自体は正常です(タイプ1)。
- カクつく場所が毎回同じか見る同じ動画を2回、3回再生します。カクつく箇所が毎回違う、または一瞬フリーズして音がずれるなら再生側の問題(タイプ1)。毎回まったく同じ瞬間に同じようにカクつくなら、動画の中身の問題(タイプ2または3)です。
- 止まっている場面と動いている場面を比べる被写体が静止している場面は普通に見えるのに、走る人・通る車・カメラを横に振った場面だけコマ送りのように見えるなら、素材のコマ数不足(タイプ3)。静止した場面でも全体がぎこちないなら撮影設定(タイプ2)です。
| タイプ | 代表的な症状 | 原因のある場所 |
|---|---|---|
| タイプ1 再生側 |
特定のアプリ(LINE、Chrome、Google フォト、Teams など)やテレビへのミラーリングでだけカクつく。カクつく箇所が毎回違う。一瞬止まる、音がずれる、読み込み中のように粗くなる | iPhone の空き容量・通信・プレイヤー |
| タイプ2 撮影設定 |
撮った直後から、どのカットも同じようにぎこちない。特にカメラを横に振ったときに映像が飛ぶ。屋外の明るい場所で撮ったものが目立つ | 撮影時のフレームレートや露出 |
| タイプ3 素材の fps 不足 |
元が 24fps か 30fps。静かな場面はきれいだが、動きの速い場面だけコマ送りに見える。昔撮った動画や書き出した動画で起きやすい | 動画そのもののコマ数 |
複数あてはまることもあります。その場合はタイプ1から順に片付けてください。再生環境を整えないと、加工しても効果が確認できません。
タイプ1:再生がカクつく(動画自体は正常)
もっとも多いのがこのタイプです。動画ファイルには何の問題もなく、再生する側が追いついていないだけの状態です。この場合、動画を加工しても一切改善しません。編集アプリやフレーム補間の出番ではないので、以下の順に環境を確認してください。
ストレージ・メモリ・バックグラウンドアプリ
4K や 60fps で撮った動画は1秒あたりのデータ量が非常に大きく、読み出しが間に合わないと再生が止まったり飛んだりします。次の条件が重なると起きやすくなります。
- 空き容量が数 GB を切っている(設定 → 一般 → iPhone ストレージ で確認)
- 編集アプリや地図、ゲームなどを開いたまま動画を再生している
- 長時間再起動していない
- 編集アプリのプレビュー画面で見ている(プレビューは処理を省略して表示するため、書き出し前は本来カクつくことがあります)
開いているアプリを閉じ、iPhone を再起動してから、写真アプリでもう一度再生してください。これで直るなら動画は無事です。編集アプリのプレビューがカクつくだけの場合は、実際に書き出したファイルを写真アプリで再生して確認します。
iCloud の「iPhone のストレージを最適化」で低解像度版を見ている場合
この設定が有効だと、端末に残っているのは軽い簡易版だけで、元のファイルは iCloud 側にあります。再生しようとすると裏でダウンロードが始まり、回線が細いと粗い映像のまま、あるいは途切れながら再生されます。「昔の動画だけカクカクする」という症状の正体がこれであることは珍しくありません。
- 見分け方:写真アプリで再生したとき、右下にダウンロード中の表示が出る、または最初だけ粗くて途中から急にきれいになる
- 対処:Wi-Fi につないでしばらく待つ。恒久的に直したい場合は 設定 → 写真 で「オリジナルをこの iPhone にダウンロード」に切り替える(端末の空き容量は必要になります)
- 確認:同じ動画をパソコンなどで再生して滑らかなら、ファイルは正常です
ミラーリング・ブラウザ再生・クラウド経由の場合
再生の「経路」が増えるほどカクつきやすくなります。次のケースは動画の問題ではありません。
- AirPlay やケーブルでテレビに映している:無線の転送が詰まるとコマが落ちます。ケーブル接続に変える、他の無線機器を減らす
- SNS やメッセージアプリ内で再生している:アップロード時に圧縮・変換された別のファイルを見ています。フレームレートや画質が落とされていることがあり、元ファイルとは別物です
- Google フォト、ドライブ、Teams など、クラウド越しのストリーミング再生:回線速度とアプリ側のプレイヤーに左右されます。いったん端末に保存してから再生すると判別できます
- ブラウザでの再生:他のタブを閉じる、ブラウザを再起動する。Safari と Chrome で挙動が違うこともあります
これらを試して滑らかに再生できたなら、対処は完了です。動画に手を加える必要はありません。
タイプ2:撮影時の設定が原因
撮った直後から、どのカットも似た調子でぎこちない場合は、撮影時の条件が原因です。すでに撮ってしまった動画をこの原因から完全に救うことはできませんが、次に撮るときには確実に改善できます。
iPhone のフレームレート設定(30/60)の確認場所
フレームレートとは、1秒間に何コマ記録するかという数字です。30fps は1秒を30コマ、60fps は60コマで記録します。コマ数が少ないほど、動きの速い場面はとびとびに見えます。
- 設定を開く設定 → カメラ → ビデオ撮影 を開きます。
- 現在の値を見る「1080p/30fps」「4K/60fps」などの組み合わせが並んでいます。選ばれている行が現在の設定です。
- 動きの多い被写体なら 60fps を選ぶ子ども、ペット、スポーツ、乗り物、カメラを動かす撮影では 60fps が有利です。データ量は増えます。
- 撮影画面でも切り替えられるカメラアプリのビデオモードでは、画面上部の表示(HD/4K、30/60)をタップして素早く変更できます。
なお、暗い場所ではカメラが明るさを確保するためにフレームレートを下げることがあります。設定を 60fps にしていても、夜の室内で撮ったものだけカクつくのはこれが理由の場合があります。照明を足すと安定します。
すでに 30fps で撮ってしまった動画を、後から「60fps で撮り直した状態」にすることはできません。記録されていない瞬間の情報は存在しないからです。ただし、コマとコマの間を推定して補う方法で見た目を滑らかにすることはできます(タイプ3で扱います)。
シャッタースピードとパンニングによるジャダー
晴れた屋外など明るい場所では、カメラがシャッタースピードを速くします。すると1コマ1コマがくっきり止まって記録され、コマの間のつながりが途切れて見えます。この、映像がカタカタ飛ぶように見える現象をジャダーと呼びます。ブレていないのにぎこちないという違和感の多くはこれです。
- カメラを横に振る(パンする)速度が速いほど目立ちます。ゆっくり振る、または被写体を追いかけるように動かすと軽減します
- 手持ちで細かく揺れていると、揺れのたびに背景が飛ぶため余計に強調されます。両手で構える、脇を締める、三脚やジンバルを使う
- 60fps で撮るとコマ間の距離が縮まり、ジャダーは大幅に減ります
- 明るすぎる場所では、露出を少し下げる(画面を長押しして AE/AF ロックし、太陽マークを下げる)ことで極端に速いシャッターを避けられます
手ぶれと混同しやすいところですが、この2つは別の問題です。手ぶれ自体は撮影時の構え方と手ぶれ補正の領域で、後から加工して直すものではありません。
タイプ3:素材のフレームレートが足りない(後から直せる)
ここまでで再生環境に問題がなく、動画は 24fps や 30fps で、静止した場面はきれいなのに動きの速い場面だけコマ送りに見える——この場合が唯一、撮り直さずに後から改善できるタイプです。
コマとコマの間を AI が生成するという解決策
フレーム補間という方法です。隣り合う2コマを見比べて、被写体がどう動いたかを推定し、その中間にあたる新しい1コマを作って挟み込みます。30fps の動画なら、29回の「間」にコマを1枚ずつ足して 60fps 相当にする、というイメージです。コマの間隔が半分になるため、動きの追跡が滑らかになります。
この方法が効く条件と、効かない条件をはっきりさせておきます。
- 効く:元のコマがきちんと記録されている、動きが一定方向で予測しやすい、コマ落ちしていない
- 効かない:手ぶれ、コマ落ちで情報が欠けている箇所、10fps 以下のような極端に低い素材
重要な前提として、動きはなめらかになりますが、画質そのものは良くなりません。ぼやけた映像がはっきりする、解像感が上がるといった効果はありません。「なめらか」と「きれい」は別のことです。
iPhone だけで実行する手順
パソコンに移したり、どこかにアップロードしたりせず、なめらか動画くんを使えば iPhone だけで完結します。処理は端末の中だけで行われ、動画が外部に送信されることはありません(機内モードでも動作します。通信するのは App Store での価格取得・購入・復元のときだけです)。補間には RIFE という Core ML のモデルを使い、Neural Engine で計算します。
- 動画を選ぶアプリを開き、写真ライブラリから対象の動画を選びます。
- フレームレートを決める「同じ/30/60/120fps」から選びます。元の動画より低い値は選べません。30fps の動画なら 60fps が扱いやすい選択です。
- 再生時間モードを「同じ長さ」にするコマを増やして滑らかにするだけで、尺は変わりません。逆に尺を伸ばしてゆっくり見せたい場合は「スローモーション」(2倍・4倍)を選びます(スローの保存は Pro 版)。
- 予測を確認するキューに入れる前に、変換後のフレームレート・再生時間・ファイルサイズ・処理の重さの見込みが表示されます。ここで無理のない設定か判断できます。
- 処理を待つキューに入れると処理が始まります。完了すると通知が届きます。
- 見比べる変換前と変換後をスプリットスライダーで並べて確認できます。効果が薄いと感じたら設定を変えてやり直せます。
- 保存する写真ライブラリ、または「ファイル」アプリに保存します。
無料のままでも、10秒以内の動画を 60fps まで(キューは1本ずつ、推論解像度と保存品質は低、出力解像度は変更なし)試せます。この「同じ長さ」でなめらかにした動画は、無料のまま保存できます。10秒を超える動画も、先頭10秒だけを切り出して無料で試せますので、自分の動画に効くかどうかを買う前に確かめてください。長さの制限をなくす、120fps や高い保存品質、スローモーションの保存、バックグラウンド処理を使う場合は Pro(買い切り)になります。
昔撮った動画・低 fps で書き出された動画に効く理由
「iPhone で昔撮った動画だけカクカクして見える」という感覚には根拠があります。
- 古い世代の端末やコンパクトカメラは 30fps 止まりのものが多く、そもそもコマ数が少ない
- 編集ソフトからの書き出しや動画のダウンロードで、24fps・25fps・30fps に落とされていることがある
- 画面録画やゲーム録画は、負荷が高いときにコマ数が下がる
- いま使っているディスプレイは 60Hz や 120Hz で、日常的になめらかな映像に目が慣れている。そのため同じ動画が以前より粗く感じられる
こうした素材は「撮影自体はきちんとできていて、コマ数だけが足りない」状態なので、フレーム補間がもっとも素直に効きます。60fps化の詳しい考え方は動画を 60fps にする方法で、撮ったあとからスローにする方法は後からスローモーションにする方法でそれぞれ詳しく説明しています。
タイプ別のまとめ
| タイプ | まずやること | アプリで直るか |
|---|---|---|
| タイプ1:再生側 | 写真アプリで元ファイルを再生/不要アプリを閉じて再起動/空き容量を確保/iCloud の最適化設定を確認/ミラーリングやクラウド経由をやめて端末内で再生 | 直りません(動画は正常なので加工の対象外) |
| タイプ2:撮影設定 | 設定 → カメラ → ビデオ撮影 で 60fps に/パンをゆっくり/明るい場所では露出を下げる/三脚やジンバル | 撮影済みの分は根本的には直りません(次回から改善) |
| タイプ3:素材の fps 不足 | フレーム補間でコマを増やす。30fps → 60fps が基本。尺を変えたくないなら「同じ長さ」 | 直せます(ただし画質は変わりません) |
直せないカクカク
期待をずらさないために、はっきり書いておきます。次のものはフレーム補間では解決しません。
- 手ぶれ:カクつきに見えても別の問題です。コマを増やしても揺れは揺れのまま残ります
- コマ落ちして情報が欠けている箇所:記録されていない瞬間は復元できません。録画が飛んでいる部分は飛んだままです
- 極端に低い fps の素材:10fps 以下のような動画は、コマの間が離れすぎているため推定が当たらず、補間しても不自然になりやすいです
- 速すぎる動き、細い線、カットの切り替わり:手足や髪の輪郭、格子や網、字幕の縁などは、補間したコマがにじんだり歪んだりすることがあります。場面が切り替わる瞬間も、無関係な2コマの間を埋めようとするため崩れやすい箇所です
- タイプ1の再生トラブル:アプリでは一切解決しません。環境側を直してください
- 画質そのもの:なめらかにはなりますが、ぼやけがはっきりしたり解像感が上がったりはしません
気になる場所があるかどうかは、処理後のスプリットスライダーで変換前と見比べれば判断できます。うまくいかない場面が含まれる動画なら、無理に補間せず元のまま使うほうが自然です。
よくある質問
なめらかにすると画質も良くなりますか
なりません。増えるのはコマの数だけで、1コマ1コマの解像感やぼやけは変わりません。むしろ書き出し時の圧縮でわずかに劣化する可能性があるため、気になる場合は保存品質を上げてください(中・高は Pro の設定です)。
無料のままどこまで試せますか
10秒以内の動画、キューは1本ずつ、最大 60fps、推論解像度は低のみ、保存品質は低のみ、出力解像度は変更なしのみ、バックグラウンド処理は不可です。「同じ長さ」でなめらかにした動画は無料のまま保存できます。10秒を超える動画でも、先頭10秒だけを切り出して無料で処理できるので、効果の確認はできます。
スローモーション(2倍・4倍)も無料で作成して結果を確認できますが、保存には Pro 版が必要です。
元が 60fps の動画を 30fps にしてカクつきを直せますか
できません。選べるのは元の動画のフレームレート以上の値だけです。フレームレートを下げる方向の変換には対応していません。
iPad でも使えますか
iPhone 専用で、iPad には対応していません。動作環境は iOS 16.0 以降の iPhone です。
動画がどこかにアップロードされることはありますか
ありません。処理はすべて端末の中で完結し、機内モードでも動作します。通信するのは App Store での価格の取得・購入・購入の復元のときだけです。
処理中にアプリが終了してしまいます
重い設定では 2GB 以上のメモリを使うため、メモリの少ない機種(おおむね iPhone 12 以前)では iOS に終了させられることがあります。推論解像度を下げる、出力解像度を上げすぎない、動画を短く切る、他のアプリを閉じる、といった順に軽くしてください。詳しい対処はサポートにまとめています。
Pro は月額ですか
買い切りです。サブスクリプションではなく、一度購入すれば継続の支払いはありません。価格は App Store の表示をご確認ください。
結局、自分はどのタイプか判断できません
もっとも確実な確認方法は、10秒だけ無料で補間して、スプリットスライダーで見比べることです。変換後が明らかになめらかになればタイプ3、ほとんど変わらないなら原因は再生環境か撮影時にあります。判定の材料としても使えます。