使い方・用途
ゴルフスイングをなめらかなスローで見る方法|30fpsで撮った動画もあとからスローに
練習場で撮ったスイングを見返そうとしたら、スローにした途端にカクカクで、肝心のインパクトがよく分からない——そんな経験はありませんか。原因は撮影の設定と、「スローで見る」目的の取り違えにあることがほとんどです。この記事では、フォームを分析したいのか、なめらかなスロー動画を残したいのかで道具を分け、次の撮り方と、もう撮ってしまった 30fps・60fps の動画をなめらかなスローにする手順を、限界も含めて説明します。
この記事の結論
- 目的で道具が変わります。フォームを1コマずつ確かめる分析なら、コマ送りや線を引く機能がある解析アプリ。見返し・SNS・記録用のなめらかなスロー動画を作るなら、フレーム補間が向いています。
- これから撮るなら、iPhone の「スロー」モード(背面カメラは標準で 1080p・240fps)がいちばん確実です。もう 30fps や 60fps で撮った動画は、フレーム補間で 2倍・4倍のなめらかなスローに作り直せます。
- 補間で作ったコマは「推定」です。インパクト付近のクラブヘッドは崩れやすく、精密なフォーム解析の根拠には使わないでください。
まず目的を分ける:「分析」と「なめらかなスロー動画」
「ゴルフ スイング スロー アプリ」で探すと、たくさんのアプリが並んだ一覧記事が出てきます。ただ、そこには性格のまったく違う2種類のアプリが混ざっています。どちらが必要かを先に決めると、迷う時間が減ります。スロー系アプリの種類全体の違いはスローモーションアプリの選び方で整理しています。
| 目的 | 向いている道具 | できること | 注意点 |
|---|---|---|---|
| ① 練習の分析 (フォームのチェック) | スイング解析アプリ | スロー再生、コマ送り、線や角度を描き込む、2本を並べて比べる、左右反転など | 見られるのは実際に撮れたコマだけ。元が 30fps なら、コマとコマの間は見えない |
| ② 見返し・SNS・記録 (なめらかなスロー動画を作る) | フレーム補間アプリ | コマとコマの間を AI が作り、2倍・4倍に伸ばしてもカクつかないスロー動画を書き出す | 作ったコマは推定。細部の正確さは保証されない |
App Store には、①のような機能をうたうゴルフ用の解析アプリが多数あり、無料で始められるものも少なくありません(2026年10月時点)。レッスンの先生とフォームを確認する、角度を測る、といった用途ならこちらです。
一方で、「家族に見せたい」「SNS に上げたい」「上達の記録としてきれいに残したい」なら、②のなめらかなスロー動画が向いています。両方を組み合わせるのも手です。分析は元の動画で、共有用はなめらかにした動画で、と使い分ければ、どちらの良さも損ないません。
普通に撮ったスイングをスローにするとカクカクする理由
通常のビデオを 30fps(1秒に30コマ)で撮っている場合、半分の速さにすると1秒に15コマ、4分の1にすると7.5コマしか表示されません。コマの数が足りないので、紙芝居のように見えます。仕組みの詳細は後からスローモーションにする方法で説明しているので、ここではゴルフならではの事情を数字で見てみます。
仮にヘッドスピードが秒速 40m だとすると、1コマの間にヘッドが進む距離は次のとおりです。
| 撮影のフレームレート | 1コマの間隔 | ヘッドが進む距離(秒速 40m の場合) |
|---|---|---|
| 30fps(通常のビデオ) | 約 33 ミリ秒 | 約 1.33m |
| 60fps | 約 17 ミリ秒 | 約 0.67m |
| 120fps(スロー撮影) | 約 8.3 ミリ秒 | 約 0.33m |
| 240fps(スロー撮影の標準) | 約 4.2 ミリ秒 | 約 0.17m |
30fps では、インパクトの前後でヘッドが1コマごとに 1m 以上も飛んでいます。つまりインパクトの瞬間そのものが、どのコマにも写っていないことのほうが普通です。スロー再生アプリでコマ送りしても、写っていない瞬間は見られません。体の動きは比較的ゆっくりなので 30fps でもある程度追えますが、クラブの先だけは桁違いの速さで動いている、という点を押さえておいてください。30fps と 60fps の違いそのものは30fps と 60fps の違いで詳しく比べています。
これから撮るなら:iPhone でスイングを撮るコツ
スロー撮影(120fps / 240fps)を使う
いちばん確実なのは、最初からコマを多く撮っておくことです。iPhone のカメラの「スロー」モード(Apple のユーザガイドでは「スローモーション」モードとも表記)は、背面カメラでは 1080p・240fps、前面カメラでは 1080p・120fps で撮るのが標準の設定です。240fps で撮った動画を 30fps で再生すれば8分の1の速さになり、それでも1秒あたり30コマがすべて実際に撮れたコマで埋まります。
- 背面カメラを 120fps に変えるには「設定」→「カメラ」→「スローモーション撮影」。対応モデルでは 4K・120fps も選べます
- iPhone 16 Pro・17 Pro・18 Pro の各モデルと iPhone Duo は、「ビデオ」モードで「120 FPS」を選んでスロー用の動画を撮ることもできます
- 撮影後は写真アプリで、どこからどこまでをスローで再生するかを調整できます(編集画面のフレームビューアの下にある縦棒をドラッグ)
通常のビデオで撮る場合も、30fps より 60fps のほうがコマの間隔が半分になります。「設定」→「カメラ」→「ビデオ撮影」か、撮影画面の上に出ている解像度とフレームレートの表示をタップして変えられます。
出典:iPhone のカメラでビデオを撮影する(Apple)、iPhone のビデオ撮影設定を変更する(Apple)
構図:正面と後方の2方向から
- 正面から:体の正面にカメラを置くと、体重移動や頭の位置、手元の位置が見やすくなります
- 後方から:目標方向の真後ろ(飛球線の後方)から撮ると、クラブが通る道筋が見やすくなります
- 全身とクラブの先まで入れる:トップやフィニッシュでヘッドが画面から出ないよう、上下に余裕を持たせます
- 三脚などで固定する:手持ちの揺れは、あとで補間しても直りません。2本を比べるときも、同じ位置から撮った動画のほうが比べやすくなります
- 背景はすっきりと:後ろを人が横切ったり、手前に物が重なったりすると、補間したときに崩れやすくなります
明るさとシャッター速度
240fps では1コマに使える時間が 240分の1秒以下しかありません。光が足りないと、暗くざらついた映像になりがちです。明るい屋外の日中がいちばん向いています。
明るさは、コマのくっきり具合にも関わります。暗い場所ではシャッターが開いている時間が長くなりやすく、高速で動くヘッドやシャフトが流れて写ります。こうしてブレて写った絵は、あとから補間しても輪郭がはっきりすることはありません。
夕方や屋内の練習場で通常のビデオを撮るときは、「FPS自動調整」にも注意してください。Apple の説明では、iPhone は暗い状況でフレームレートを自動的に 24fps に下げることがあります。設定は「設定」→「カメラ」→「ビデオ撮影」の「FPS自動調整」(モデルによっては「自動低照度FPS」)です。オフにするとコマ数は保てますが、暗い場所での写りは落ちます。照明を足せるならそれがいちばんです。
撮った 30fps・60fps の動画を 2倍・4倍のなめらかなスローにする手順
問題は、スローで見たいと思うのが、たいてい撮り終えたあとだということです。ベストスコアの日のティーショット、レッスンで褒められた1球——撮り直しはききません。ここからは、もう撮ってしまった動画をなめらかなスローにする方法です。
60fps 以上で撮った動画なら、写真アプリで遅くできることも
先に、アプリが要らないケースです。Apple によると、30fps を超えるフレームレートで撮った動画は、iOS 18 以降の写真アプリで再生速度を落とせます。60fps で撮ったスイングなら、半分の速さにしても1秒あたり30コマが残るので、2倍程度のスローなら写真アプリで十分です。ただし写真アプリの速度変更は新しいコマを作る機能ではないので(Apple の説明にもそうした記述はありません)、それ以上遅くするとカクつきが目立ってきます。詳しくは写真アプリで動画をスローにする方法をご覧ください。
通常の 30fps で撮った動画は、写真アプリでは速度を変えられません。4倍のようなスローを作りたい場合もあわせて、ここでフレーム補間の出番になります。
フレーム補間なら、コマ数を保ったまま伸ばせる
フレーム補間は、前後のコマから動きを推定して、その間のコマを新しく作る技術です(仕組みはフレーム補間とはで解説しています)。作ったコマの分だけ再生時間を伸ばせば、1秒あたりのコマ数を保ったままスローにできます。違いを図にすると次のとおりです。
手順0:先に数秒に切り詰める
練習の動画は、構えてから打ち終わるまでの前後に余分な時間が入りがちです。補間する前に、写真アプリでスイングの数秒だけに切り詰めておきましょう。写真アプリで動画を開いて編集ボタンをタップし、下のフレームビューアの両端をドラッグして「完了」。元の動画も残したいなら「ビデオを新規クリップとして保存」を選びます。
切り詰める理由は3つあります。処理が軽く速くなること。カットの切り替わりや人の出入りなど、補間が苦手な場面を外せること。そして、なめらか動画くんの無料版は動画の先頭10秒を切り出して処理するので、スイングが動画の後半にあると、切り詰めないとスイングが入らないことです。
出典:iPhone でビデオの長さをトリミングする/速度を調整する(Apple)
なめらか動画くんで 2倍・4倍スローにする
- 動画を選ぶアプリを開き、「フォトライブラリ」か「ファイル」から切り詰めた動画を選びます。
- 元のフレームレートを確かめる「動画の情報」の画面に、変換前と変換後(予想)のフレームレート・再生時間・容量が並びます。30fps か 60fps かは、ここで分かります。
- 再生時間を「スローモーション」にする生成したコマで再生時間を伸ばすモードです。
- スロー倍率を選ぶ「2×」はコマの間に1枚、「4×」は3枚を生成し、再生時間がそれぞれ2倍・4倍になります。まずは 2× がおすすめです。
- 推論解像度を決めるAI が内部で処理する画像の大きさです。上げるとクラブのような細部の推定精度が上がりますが、処理時間とメモリ使用量が増えます。無料版は「低」のみで、「中」「高」は Pro です。
- 「キューに追加する」をタップ処理が始まり、終わると通知が届きます。長めの動画なら「処理中は画面をロックしない」をオンにしておくと安心です(無料版でも使えます)。
- 比較スライダーで確かめる変換前と変換後を1画面に並べ、境目を左右にドラッグして見比べます。インパクトの前後は特によく見てください。
- 保存する(Pro)スローモーションの保存は Pro の機能です。無料版では保存ボタンが「Pro で保存」になり、プレビューには「お試しプレビュー」の透かしが入ります。
仕上がりの目安:本物のコマはどれだけ残るか
スローモーションでは、書き出す動画のフレームレートは元の動画と同じです。30fps の動画を 2× にすると、30fps のまま長さが2倍になります。1秒あたりのコマ数は保たれますが、そのうち何枚が実際に撮れたコマなのかを知っておくと、仕上がりを正しく評価できます。
| 元の動画 | 倍率 | 書き出し | 1秒あたりのコマ | うち実際に撮れたコマ |
|---|---|---|---|---|
| 30fps | 2× | 30fps・長さ2倍 | 30コマ | 15コマ |
| 30fps | 4× | 30fps・長さ4倍 | 30コマ | 7.5コマ |
| 60fps | 2× | 60fps・長さ2倍 | 60コマ | 30コマ |
| 60fps | 4× | 60fps・長さ4倍 | 60コマ | 15コマ |
| (参考)240fps のスロー撮影 | 8分の1の速さで再生 | 30fps | 30コマ | 30コマ |
60fps で撮った動画は、同じ倍率でも実際のコマが2倍あるので、補間の結果も安定しやすくなります。4× は1つの隙間に3枚を推定するぶん、崩れる可能性も上がります。2× で物足りないときに 4× を試す、という順番が失敗しにくいやり方です。
音声について:スローモーションにした動画には、元の音声が通常の速さのまま先頭から入ります。映像は伸びているので、インパクトの音と映像は合いません。元の長さを過ぎると無音になります。SNS に上げるときは、音を消すか BGM に差し替えると自然です。
限界:補間したスローを分析に使ってはいけない理由
フレーム補間は万能ではありません。ゴルフのスイングは、補間が苦手な条件がいくつも重なる被写体です。
- インパクト付近のヘッド:30fps では1コマの間に 1m 以上動くことがあり、その間を推定するのは困難です。ヘッドがにじむ、2つに分かれて見える、途中で消える、といった崩れが出やすくなります
- シャフト:細い線は苦手です。曲がって見えたり、途切れたりすることがあります
- 体の前を通る腕やクラブ:手前と奥が重なる場面は、どちらがどう動いたかの推定を誤りやすくなります
- 飛び出すボール:前のコマに無かったものが急に現れる場面も苦手です
- ブレや画質:補間で画質は良くなりません。ブレて写ったヘッドは、ブレたまま増えるだけです
そして、いちばん大事なことです。補間で作ったコマは、AI がもっともらしく描いた推定の絵であって、実際に撮れた記録ではありません。インパクトでのフェースの向きやシャフトの傾き、クラブの通り道のように、数センチや数度の違いを見る分析には使わないでください。見た目が自然でも、その形が本当にあったとは限らないからです。
細部を確かめたいなら、元の動画を解析アプリでコマ送りする(実際に撮れたコマだけを見る)か、次の練習で 240fps のスロー撮影をするのが正解です。補間したスローは、スイング全体の流れやテンポを見返す、人に見せる、記録として残す、という用途で力を発揮します。
もう一つ、重い設定ではメモリを 2GB 以上使うため、メモリの少ない機種(おおむね iPhone 12 以前)では処理が途中で終了させられることがあります。その場合は推論解像度を下げる、動画を短く切る、他のアプリを閉じる、といった順に軽くしてください。
野球・テニス・ダンスにも使える?
考え方はゴルフと同じです。体の動きはなめらかになりやすく、道具やボールの先端ほど崩れやすい、と覚えておくと判断しやすくなります。
- 野球:バットの先やボールはゴルフのヘッドと同じく非常に速いので、インパクト付近は崩れやすくなります。投球や打撃のフォーム全体を見返す用途なら向いています
- テニス:ラケットのガット(網)は細い格子なので推定が難しい部分です。体の使い方を見る用途で使うのがおすすめです
- ダンス:手足の動きはクラブより遅いので、比較的きれいに補間できます。全身が画面に収まる引きの構図にすると安定します。ダンスや振り付けの確認のコツは後からスローモーションにする方法でも紹介しています
よくある質問
ゴルフスイングをスロー再生できる無料アプリはありますか?
まず iPhone 標準の写真アプリが使えます。スロー撮影した動画や、60fps 以上で撮った動画(iOS 18 以降)なら、写真アプリで遅くできます。コマ送りや線の描き込みをしたいなら、App Store にある無料で始められる解析アプリが候補です。30fps の動画をなめらかなスローにしたい場合、なめらか動画くんは作成と確認までは無料で、保存は Pro(買い切り)です。
30fps で撮ったスイングを超スローにできますか?
フレーム補間なら 4倍までなめらかにできます。ただし 4倍では1秒30コマのうち実際に撮れたコマは 7.5 コマで、残りは推定です。8分の1のような超スローで細部まで見たいなら、240fps のスロー撮影で撮るのがいちばん確実です。
インパクトの瞬間だけ映像がぐにゃっと崩れるのはなぜですか?
ヘッドが1コマの間に動く距離が大きすぎて、AI が中間の位置を推定しきれないためです。2× にする、推論解像度を上げる(Pro)、60fps 以上で撮る、のいずれかで改善することがあります。それでも崩れる場合、その区間は補間に向いていません。
補間したスロー動画でフォームをチェックしてもいいですか?
全体の流れやテンポを見返す用途なら問題ありません。ただし、インパクトの形やクラブの角度のような細部の判断には使わないでください。補間で作ったコマは推定で、実際に撮れた記録ではないからです。
スローにした動画に音は入りますか?
入りますが、元の音声が通常の速さのまま先頭から流れるので、映像とは合いません。元の長さを過ぎると無音になります。共有するときは音を消すか差し替えるのがおすすめです。
iPad でも使えますか?
iPhone 向けのアプリです。iPad でも iPhone 版として動作しますが、動作確認は iPhone で行っています。