フレーム補間
動画をヌルヌル(滑らか)にする方法|「滑らか」の正体と、iPhoneだけで動きを滑らかにする手順
「動画をヌルヌルにしたい」と思って調べると、手ぶれ補正や美肌加工の話まで混ざって出てきて、結局なにをすればいいのか分かりにくくなります。動きのヌルヌル感の正体は、1秒あたりのコマ数(fps)です。この記事では、まず「滑らか」の意味を切り分け、撮るときと撮ったあとの4つの方法を図と表で比べます。そのうえで、iPhone だけで動きを滑らかにする手順と、ヌルヌルにしないほうがいい映像まで整理します。
この記事の結論
- 動きの「ヌルヌル」は、1秒あたりのコマ数で決まります。30fps は約33ミリ秒ごと、60fps は約17ミリ秒ごとに絵が切り替わり、コマが多いほど動きがつながって見えます。
- これから撮るなら、カメラの設定で 60fps を選ぶのがいちばん確実です。撮影済みの動画を本当に滑らかにできるのは、間のコマを描き起こす「フレーム補間」だけ。fps の数字を変えるだけ(コマの複製)では、見た目は変わりません。
- 手ぶれ・肌の質感・画質は、コマ数とは別の問題です。この記事の方法では直りません。映画のような 24fps の質感を残したい映像も、ヌルヌルにしないほうが合います。
「動画を滑らかにする」は3つの意味に分かれる
「動画 滑らかにする」で検索すると、手ぶれを抑える方法、肌をきれいに見せる加工、動きをなめらかにする方法が同じ画面に並びます。どれも「滑らか」と呼ばれますが、原因も直し方もまったく別です。まず、自分が気になっているのはどれかを確かめてください。
| 気になっていること | 正体 | 合う対処 |
|---|---|---|
| 走る人や車、カメラを振った場面がカクカク・コマ送りに見える | 1秒あたりのコマ数が足りない | コマを増やす(この記事で扱います) |
| 画面全体が揺れる・ガタガタ震える | 手ぶれ | 手ぶれ補正(スタビライズ) |
| 肌をなめらかに見せたい | 肌の質感 | 美肌フィルター・レタッチ系の加工 |
手ぶれは、コマを増やしても直りません。揺れている映像のコマを増やすと、揺れがそのまま滑らかに再現されるだけです。手ぶれを抑えたい場合は、編集アプリの手ぶれ補正(スタビライズ)機能を使うか、次に撮るときにジンバルを使う・両手でしっかり構えるのが近道です。
ほかに、よく混ざる悩みが2つあります。ひとつは「特定のアプリやテレビで再生したときだけカクつく」場合で、これは動画ではなく再生環境の問題です。動画がカクカクする原因の切り分けから確認してください。もうひとつは「クリップとクリップのつなぎ目を滑らかにしたい」場合で、こちらは編集アプリのトランジション(場面転換の効果)の領域です。
ここから先は、いちばん上の「動きのカクカク」を直す話に絞ります。
動画のヌルヌル感の正体は1秒あたりのコマ数
動画は、少しずつ違う静止画(コマ)をすばやく切り替えて、動いているように見せています。1秒間に何枚のコマを使うかを表すのがフレームレートで、単位は fps(frames per second)です。30fps なら1秒に30枚、60fps なら60枚です。
コマが少ないと、動くものはコマごとに大きく「跳んで」移動します。この跳びが目に見えると、カクカク・コマ送りに感じます。逆にコマが多いと1回の跳びが小さくなり、軌跡がつながって、いわゆる「ヌルヌル」に見えます。数字で比べるとこうなります。
| フレームレート | 1コマが表示される時間 | 横1920ピクセルの画面を1秒で横切るボールが、1コマで動く距離 |
|---|---|---|
| 24fps | 約42ミリ秒 | 80ピクセル |
| 30fps | 約33ミリ秒 | 64ピクセル |
| 60fps | 約17ミリ秒 | 32ピクセル |
| 120fps | 約8ミリ秒 | 16ピクセル |
30fps から 60fps にすると、1回の跳びが半分になります。差がはっきり出るのは、カメラを横に振る場面、スポーツやペットのように速く動く被写体、背景や文字が流れていく映像です。反対に、三脚で撮った会話の場面のように、もともとコマの間で被写体がほとんど動いていない映像は、コマを増やしても見た目の変化は小さくなります(詳しくは30fps と 60fps の違いで扱います)。
自分の動画が何 fps かを先に確かめる
直す前に、元の動画のフレームレートを確認しておくと判断を誤りません。もとから 60fps で撮れている動画なら、もう十分に滑らかなはずで、カクつきの原因は別のところにある可能性が高いからです。確認の方法はiPhone で動画の fps を確認する方法にまとめています。なお、後で紹介するなめらか動画くんでも、動画を選ぶだけで「動画の情報」の画面に元のフレームレートが表示されます(無料で、処理しなくても見られます)。
アニメの「ぬるぬる」は少し意味が違う
アニメの話題で「ぬるぬる動く」と言うときは、ファイルの fps ではなく、描かれた絵の枚数が多いことを指すのが普通です。日本のテレビアニメの多くは1秒24コマの中で同じ絵を2〜3コマずつ続ける作り方をしていて、特に力を入れた場面だけ1コマごとに絵を描き分けます。それが「ぬるぬる」と呼ばれます。完成したアニメにあとからコマを足す処理は相性が難しく、違和感が出やすい理由はフレーム補間とはで説明しています。
動画を滑らかにする4つの方法を比べる
1秒あたりのコマ数を増やす方法は、大きく4つあります。撮るときに増やすか、撮ったあとに増やすか。撮ったあとなら、増やしたコマの中身が「コピー」か「重ね合わせ」か「新しく描いた絵」か、の違いです。図にすると次のようになります。
方法1:撮るときに 60fps にする(いちばん確実)
すべてのコマが本物なので、どの方法よりも自然に滑らかです。iPhone なら「設定」→「カメラ」→「ビデオ撮影」で 60fps の項目を選びます。カメラアプリのビデオ画面でも切り替えられます。ファイルの容量は大きくなり、暗い場所ではカメラが明るさを確保するためにフレームレートを下げることがある点だけ覚えておいてください(詳しくは動画がカクカクする原因と直し方)。弱点は、撮ってしまった動画には使えないことです。
方法2:コマの複製(fps の数字だけ上げる)
同じコマをもう1枚コピーして並べ、ファイル上のフレームレートを 60fps にする方法です。編集アプリの書き出し設定で fps を選ぶ場合や、中間のコマの生成をうたっていない変換サイトの多くはこれにあたります。絵が切り替わる回数は元の30回のままなので、見た目は1ミリも滑らかになりません。「60fps にしたのに何も変わらない」という声の原因の多くはこれです(動画の60fps化で詳しく説明しています)。
方法3:ブレンド(前後のコマを重ねる)
前後2枚のコマを半透明で重ねた画像を間に挟む方法です。絵の切り替わりが細かくなるぶん少し滑らかに感じますが、動いているものが二重に写る残像が出ます。動きがゆっくりな映像ならあまり目立ちませんが、速く動く被写体ほどぼやけた二重写りになります。処理が軽いので、アプリによっては「高速」モードとして用意されています。
方法4:フレーム補間(間のコマを推定して描く)
前後2枚のコマを見比べて、被写体がどちらへどれだけ動いたかを推定し、その中間の瞬間にあったはずの絵を新しく描き起こす方法です。コピーでも重ね合わせでもない新しいコマが入るので、コマの間隔が実際に細かくなり、動きがつながって見えます。撮影済みの動画を本当にヌルヌルにできるのは、この方法だけです。「AI で動画をなめらかにする」と言われるのも、多くはこの推定を AI のモデルで行うものです。仕組みや、ほかの方式との違いはフレーム補間とはで詳しく解説しています。
| 方法 | 撮影済みの動画 | 動きの見え方 | 注意点 | 主な手段 |
|---|---|---|---|---|
| 60fps で撮る | 使えない(これから撮る分だけ) | すべて本物のコマで、もっとも自然 | 容量が増える。暗所ではフレームレートが下がることがある | iPhone のカメラ設定 |
| コマの複製 | 使える | 変わらない(数字だけ 60fps) | 見た目は元のまま。再エンコードで画質が落ちることも | 編集アプリの書き出し設定、多くの変換サイト |
| ブレンド | 使える | 少し滑らかになるが、二重の残像が出る | 速い動きほど残像が目立つ | 一部のアプリの軽いモード |
| フレーム補間 | 使える | 間のコマが描かれ、動きがつながる | 苦手な場面で輪郭がゆがむことがある。処理に時間がかかる | 補間アプリ、CapCut のスムーズスロー(スロー用)、PC ソフト |
「動画を滑らかにするサイト」で済ませたい場合
ブラウザで使える変換サイトは手軽ですが、中間のコマを生成していないもの(方法2)が多く、AI で補間するサービスでも動画をサーバーにアップロードする必要があります。家族や子どもが写った動画を外に出したくない場合や、送信に時間がかかる長い動画では、端末の中で処理できるアプリのほうが向いています。アプリを選ぶときの見分け方はiPhone のフレーム補間アプリの選び方にまとめました。
動画編集の世界では、動きにぶれ(モーションブラー)を足して滑らかに「見せる」加工もよく使われます。印象はやわらかくなりますが、コマの数は増えないので、カクカクの根本は変わりません。
iPhoneだけで動画をヌルヌルにする手順
手順の前に、アプリが要らないケースを先に書いておきます。
- これから撮る動画:カメラの設定で 60fps にして撮れば、アプリは要りません。
- すでに 60fps で撮った動画:十分に滑らかです。カクついて見えるなら、再生環境か手ぶれを疑ってください。
- 特定のアプリで見たときだけカクつく動画:動画自体は正常なので、加工しても直りません。
30fps や 24fps で撮ってしまった動画を、撮り直さずに滑らかにしたい場合が、フレーム補間の出番です。撮影済みの動画からヌルヌル動画を作るなら、この流れになります。ここでは筆者が開発しているなめらか動画くんを例に、実際の画面の項目名で説明します。AI のフレーム補間モデル RIFE を iPhone の中で動かすアプリで、動画はどこにも送信されません(機内モードでも処理できます)。
- 動画を選ぶアプリを開き、「フォトライブラリ」か「ファイル」アプリから動画を選びます。10秒を超える動画でも、先頭10秒だけを切り出して無料で試せます。
- 「動画の情報」で今のフレームレートを確かめる選ぶと「変換前」と「変換後(予想)」が並んだ画面が出ます。変換前のフレームレートが 30 fps なのか 24 fps なのかを、ここで確認します。
- 「再生時間」を「同じ長さ」にする長さを変えずに、1秒あたりのコマ数だけを増やすモードです。ヌルヌルにしたいだけなら、こちらを選びます。
- 「フレームレート」を選ぶ「同じ/30/60/120 fps」から選びます。元の動画のフレームレート以下は選べません。「同じ」のままでは補間したコマが作られないので、30fps の動画なら 60 を選ぶのが基本です。
- 画質まわりの設定を決める「推論解像度」(AI が内部で処理する画像の大きさ)、「保存品質」(低/中/高 = 3/8/20 Mbps)、「出力解像度」を決めます。無料版はそれぞれ「低」「低」「変更なし」で固定です。
- 「キューに追加する」変換後のフレームレート・再生時間・容量と「処理負荷」(低/中/高/めちゃ高)の見込みを確かめてから追加すると、処理が始まります。長い処理では「処理中は画面をロックしない」をオンにしておくと安心です(無料版でも使えます)。
- 見比べてから保存する終わると通知が届きます。変換前と変換後を1画面に並べ、境目のスライダーを左右にドラッグして見比べ、納得できたら写真ライブラリか「ファイル」アプリに保存します。
元のフレームレート別のおすすめ設定
| 元の動画 | 「フレームレート」の選び方 | 補足 |
|---|---|---|
| 24fps(映画風の設定や一部のカメラ) | 60 | 60 は 24 の倍数ではありませんが、生成したコマから均等に選んで、ぴったり 60fps に揃えます |
| 30fps(iPhone でよく使われる設定) | 60 | 各コマの間に1枚を生成します。120 にすると間に3枚を生成します(120fps は Pro) |
| 60fps | 120(Pro) | 60 以下は選べないため、無料版では「同じ長さ」で滑らかにする選択肢がありません |
| 画面収録など、コマの間隔が一定でない動画 | 60 | 各コマの実際の時刻を使って処理します |
SNS やスマホの画面で見るなら、まずは 60fps で十分です。120fps が生きるのは、高いリフレッシュレートの画面で見る場合や、編集ソフトでさらに加工する素材にする場合です(動画を120fpsにする方法)。なお、投稿先のサービスや設定によっては、アップロード時に変換されて 60fps のまま再生されないことがあります。
無料でどこまでできるか
無料版では、10秒以内の動画(長い動画は先頭10秒)を「同じ長さ」で最大 60fps まで処理でき、その結果は無料で保存できます。キューは1本ずつで、アプリを離れると処理は中断します。動画の長さの制限をなくす、120fps で出力する、保存品質や推論解像度を上げるといった場合は Pro(買い切り。サブスクリプションではありません)です。価格は App Store でご確認ください。
ゆっくり見せたいなら「スローモーション」
滑らかさではなく、動きをゆっくり見せたい場合は「再生時間」を「スローモーション」にします。生成したコマで再生時間を伸ばすモードで、「スロー倍率」は 2×(間に1枚を生成し、長さ2倍)と 4×(間に3枚を生成し、長さ4倍)です。このモードではフレームレートの選択欄は出ず、出力のフレームレートは元の動画と同じになります。だから 30fps の動画を 2× にしても、1秒30コマが保たれてカクつきません。スローは無料で作成して結果を確認できますが、保存は Pro です。音声は元の速さのまま先頭から入るため、映像と音は合いません。詳しくは後からスローモーションにする方法で説明しています。
ヌルヌルにしないほうがいい映像と、補間が苦手な素材
滑らかさは、いつでも正解というわけではありません。次のような映像は、元のままのほうが良く見えることがあります。
- 映画のような質感を狙った 24fps の映像:映画は長く 24fps で作られてきたため、私たちの目は「少しカクっとした動き」を映画らしさとして受け取ります。これを 60fps にすると、ホームビデオやテレビの生放送のような生々しい見え方になり、安っぽく感じる人もいます。テレビの倍速機能で映画がヌルヌルになって違和感を覚えるのと同じ現象です(理由はフレーム補間とはで解説しています)。
- 会話中心・動きの少ない映像:コマの間で被写体がほとんど動かないため、補間しても違いが分かりにくく、処理の手間に見合いません。
- カクカク感そのものが味の映像:コマ撮り(ストップモーション)や、あえてコマを落とした演出は、滑らかにすると意図が消えます。
- 本物のコマが必要な用途:補間で作ったコマは推定なので、スポーツのフォームの精密な分析や、記録としての正確さが求められる場面には向きません。
フレーム補間が苦手な素材
補間は「前後のコマから動きを推定する」処理なので、推定が難しい場面では、作ったコマが崩れることがあります。
| 素材・場面 | 起きやすいこと |
|---|---|
| 速すぎる動き(ボール、ラケット、素早い手の動き) | 輪郭がゆがむ・溶けたように見える |
| 手前を何かが横切る(前後の重なり) | 重なった部分がにじむ |
| 髪・手足の輪郭・格子・網などの細い線 | 線が途切れる・波打つ |
| 文字やテロップ | 字の形が崩れる |
| カットの切り替わり | 2つの場面が混ざったコマが一瞬入る |
| 半透明のもの・水しぶき・急に現れるもの | 形が崩れる |
| 10fps 以下のような極端に低い fps | コマの間が離れすぎて推定が当たらない |
また、コマ落ちして情報が欠けている箇所は復元できません。崩れが気になるときは、比較スライダーでその場面を確かめ、推論解像度を上げる(中・高は Pro)、崩れる区間を避けて短く切り出す、それでもだめなら無理に補間せず元のまま使う、の順で考えてください。
よくある質問
動画を滑らかにするアプリは無料で使えますか?
アプリによって、無料で保存までできる範囲が違います。なめらか動画くんの場合は、10秒以内(長い動画は先頭10秒)の動画を最大 60fps まで滑らかにして、無料で保存できます。120fps・長い動画の全編・スローモーションの保存は Pro(買い切り)です。ほかのアプリも、無料版の制限が「長さ」「透かし」「保存」のどこにあるかを先に確かめると失敗しません。
動画を滑らかにするサイトはありますか?
ありますが、fps の数字を書き換えるだけで中間のコマを作らないサイトが多い点に注意してください。AI で補間するサービスもありますが、動画のアップロードが必要です。動きの速い場面を元の動画と見比べれば、どちらの処理だったかが分かります。
iPhone の写真アプリや iMovie だけで動画を滑らかにできますか?
できません。写真アプリには、30fps を超えるフレームレートで撮った動画の速度を落とす機能があります(iOS 18 以降)が、新しいコマを作る機能ではありません(Apple の公式説明にもその記述はありません)。iMovie にも、中間のコマを描き起こす機能はありません。
出典:Apple サポート「ビデオを編集する方法」(2026年10月確認)
「ヌルヌル動画」とはどういう意味ですか?
動きが途切れずに、なめらかにつながって見える動画のことです。多くは 60fps 以上の動画を指します。アニメの話題では、絵の枚数が多く、細かく動く場面を指して使われます。
手ぶれした動画も滑らかになりますか?
なりません。フレーム補間はコマの数を増やす処理で、揺れそのものは揺れのまま残ります。手ぶれには、編集アプリの手ぶれ補正(スタビライズ)機能を使ってください。
ヌルヌルにすると画質も良くなりますか?
良くなりません。増えるのはコマの数だけで、ぼやけ・ノイズ・圧縮の粗さはそのままです。なめらか動画くんの「出力解像度」もただの拡大・縮小で、小さい動画を 4K にしても細部は増えません。
動画と動画を滑らかにつなげたいときは?
それはクリップのつなぎ目の問題なので、編集アプリのトランジション(クロスフェードなど)を使います。フレーム補間は1本の動画の中のコマを増やす処理で、別々のクリップをつなぐ用途には向きません。
iPad でも使えますか?
なめらか動画くんは iPhone 向けのアプリです。iPad でも iPhone 版として動作しますが、動作確認は iPhone で行っています。